とむやんの氣まぐれ雑想記

〈探幸王〉を目指して、さまざまな想いを綴ります☆

Let 'Em Eat Cake


受動喫煙の防止策を非公開で議論した自民党厚生労働部会で、たばこの煙に苦しむがん患者の立場を訴える議員の発言に、「(がん患者は)働かなければいいんだよ」というヤジがあった、というニュースを見ました。

ヤジを言った自民党大西英男衆院議員は失言と認め、謝罪。
ただし、「喫煙可能な店で、無理して働かなくていいのではないか、との趣旨だった」と釈明、発言の撤回はしなかったという。



先に断っておくけれど、これについて「かばう」つもりはまったくありません。
けれど、こういう失言をきちんと追及できていないのは、個人的にとても残念です。

かと言って、こういうときに「疑ってかかれ」というのも、それはそれでしんどい。
真に受けるでもなく、鵜呑みにするでもなく、「話半分」ぐらいの感覚でいいんじゃないか、と以前書いたことにも関連しそうです。

話半分。 - とむやんの氣まぐれ雑想記


こういうとき、逆に決めつけて断罪するような方法では、かえってのらりくらりと「逃げられて」しまう。
なので、もうひとつ「相手の上手(うわて)に行く」ことを、地道にやっていけたらいいんじゃないか?と考えています。

残念ながら、日本の大手マスコミの人たちは、その辺のことに関心がないようです。
それとももしかして、あえてやってるいるんじゃないかって、穿った見方すらしてしまいます。



さて、最初のニュースのことに話を戻します。

この発言を受けて、がん患者の団体が反発をしたと言います。
「がん患者は働かなくていい」という風に捉えて、昨年成立したという改正がん対策基本法に逆行すると受け止められている、というのですが。

大西議員の釈明を見ると、一応「話半分」でも聞く耳をもってみると、その受け止め方はちょっと言葉の表面だけを捉え過ぎかなと思います。

つまり、「がん患者は働くな」と言っているわけではなく、「何もわざわざ喫煙可能なところを選んで働くことはないだろう」ということのようです。

でも、ちょっと待って。
それはそれで、実は結構問題ある発言だと、ぼくは思います。

それって、マリー・アントワネットの「パンがないなら、お菓子を食べればいいじゃない」発言に似たものを感じるのです。

ひとつ補足しておくと、この発言はマリー・アントワネットのものではないのだそう。
ちなみに、この台詞はジャン=ジャック・ルソーの自伝的な『告白』に、「たいへんに身分の高い女性」の言葉として紹介されたことが典拠となっているようで。
もしくは、「ルソーの考えたアネクドート(小咄)だ」との説もあるみたいです。

いずれにしても、「いかに庶民感覚とズレているか」を表している言葉としては、とてもわかりやすいと思います。

もし、本氣で「喫煙可能な店で、無理して働かなくていいのではないか」と考えての発言だとしても、それはそれで問題ありです。
それはがん患者に限らず、庶民がどういう労働実態なのか、もしくはなぜ今「受動喫煙の防止策」を話し合わなければならないのかが、全然わかっていないのですから。

「鬼の首を取ったかのよう」に追い詰めたり、論破してスッキリしたくなるのはわかるけど、それでは問題は本当の意味で解決しない。
その辺のことをただ叱責するのではなく、質問等を通してつまびらかにする、そういう手法をもっと学んでいきたいものです。


そういえば、「刑事コロンボ」ってそういう感じじゃなかったかな?

冴えない見た目、ユーモアを交えた駆け引き。
そうやって相手を油断させて、焦らせて最後には自滅させていく。

帰るかと見せかけて、「もう1つだけお聞きしたいことがあるんですが…」と、相手をイライラさせるシーンは、特に印象的ですよね。


結局「印象操作」に終始してしまうのは、本当につまらないことだと思います。
それでは残念ながら、太刀打ちできない。


そうそう、江戸時代中期に米不足が深刻化したとき、北町奉行の曲淵景漸(まがりぶちかげつぐ)が、「昔は米がないときは犬を食った」「町人は米を食わずに麦を食え」と放言、江戸市中での大規模な「打ちこわし」に発展したという話があるそうです。

ところが、これもまた発言の真偽は不明、風説が流布したものではないかとの説が有力なようで。

真偽不明な点はどうかと思うのですけど、今とは全然違って、町人は「ちゃんと」不満が爆発したんですね。
もちろん、「打ちこわし」という手法がいい、と言っているのではありませんよ。

弱者の立場を無視した、もしくは寄り添うことのできない論理での「放言」が至るところで聞かれる昨今、それにどう対処していくのか。
これからもいろいろ考えて、書いてみたいと思います。


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↑写真は先日、久々に行ったcafeネンリンで撮らせてもらったもの。

先述の「お菓子を食べれば」発言の「お菓子」は、「ブリオッシュ」を指していたらしいです。
リング型のドーナツは、19世紀中頃に登場したとされているので、どっちにしてもマリー・アントワネットとは関係がありません(笑)


                    せれんでぃっぽ☆とむやん