☆
埼玉の実家に、帰省することの楽しみの、ひとつ。
それは、黒猫のネロに会うこと。
ネロは、震災の半年前に実家に来た猫。
前に飼っていた猫は、ぼくが高校生のときに連れてきたメス猫で、引き取り手を探して預かっているあいだに、家族みんなすっかり猫の魅力にやられてしまった。
メイは、母がカフェをはじめてからは看板猫として、うちの長男が生まれてからは養育係として、19年生きた。
なので、猫は(というかペット全般)もう飼うことはない、と言っていた母の氣もちはよくわかる。
☆
と思っていたら。
いわゆる保護猫で、あまり容態のよくない黒猫を飼わないかと声をかけられた。
それからもう、15年近くになるのか。
当時ぼくは実家にあまり寄っていなくて(たぶんそうだった)、一年後にはぼくらは滋賀へ移住。
その後京田辺に移り住んでからはコロナ禍もあって、実家に帰れなかった時期もあったり。
そんなこんなで、ネロには頻繁に会うことができず、うちの子どもたちも会えるのをすごく楽しみにしている。
ちなみに、メイもネロも、「名付け親」はぼくだ。
5月に来たからMay、黒猫だからNero(こちらはイタリア語、発音としてはネーロと少し伸びるらしい)。
☆
さて、前置きが長くなった。京田辺の家で、猫を飼えないか考えたときがある。
あるとき、物干し&自転車置きのスペースに猫が迷い込んで。
その猫はニャーニャー鳴いて騒いだ後、結局どこかへまた逃げてしまった。
そのときに、大家さんにペットを飼えるか一応聞いてみたところ、ダメだという。
それが、この夏急遽引っ越すことになって、川を挟んで斜め向かいなのだけど。
ここはペットOKで(以前住んでいた人は烏骨鶏を飼っていた)。
それで、何か飼ってみてもいいかもね、という氣運が高まってきていた。
☆
で、この夏の帰省。
一週間ほど帰ることができて、子どもたちも久しぶりにじいじばあばとネロと会えて、本当に嬉しそうだった。
ネロも、言うことを聞いてくれる人が増えて、まんざらでもない様子。
メイがいた頃は、家の前が工場だったこともあって(祖父が働いていた)、自分で勝手に外に出ていた。
昨今、猫は家から出さないのが主流で、ネロも自由に外に出ることはない。
ただ、いろいろな理由があって、喫茶店の前ではリードを付けて、その範囲では外に出ることがあったり。
リードを付け忘れたり、開けたドアをすり抜けて脱走したり、そういうことは何度かあった。
そう、今回も、ネロが夜中に逃げ出してしまった。
ネロは一度入ってきたものの、リードを使って扉が閉まるようにした仕掛けがうまく動かず、もう一度逃げてしまった。
そして、運悪くその直後に大雨。
真夜中の二時頃だろうか、弱弱しい声で鳴き、ネロが入ってきた。
今度はうまく扉を閉めたが、どうも様子がおかしい。
探しに出ていた父がちょうど帰ってきて、見ると左の牙が折れている。
左の足を少し引きずっているし、妙に怯えているし。
そんなわけで翌日、ネロをケージに入れて、父と動物病院へ行った。
結果から言えば、レントゲンや超音波などの検査でも、異常は見られなかった。
交通事故のように、後から影響が出てくることもあるそうで、でもそれもなく、回復してくれた。
とにかく、ひと安心。
☆
会計に呼ばれたときのこと。
父は、なぜか聞き間違えて、全然違う人が呼ばれているのに、会計へ向かう。
ぼくは、あれ?と思いつつも、会計の横に並んだ。
3万5千円、だったか、そんな金額を告げられる。
2人の手もちで何とか足りそうな金額、でもやはりこんなに高いのか。
と、思っていたら、受付の方が、「あの、〇〇さんですか?」と聞いた。
ほら、やっぱり違う人が呼ばれてたんじゃないか。
ちなみに、本来呼ばれていた人は、だいぶ耳の遠い方だったみたい。
今度こそ、自分たちが呼ばれて、会計の金額を聞いて正直ほっとした。
さっきよりは全然下の金額だった。
けれど、2ヶ月前に自分が整形外科に行って、初回の会計で驚いた金額よりも高かった。
そう、ペットには保険がきかない。
人間の医療費も高くなっているのに、ペットはそれよりさらにかかってしまう。
ネロは帰ってきたし、大丈夫だったし、本当によかった。
だけど、ペットを飼うということは、お金もかかるし、いろいろと大変だなと改めて痛感させられた。
当たり前っちゃ当たり前なんだけど。
でも、猫を飼いたいという氣もちは、だいぶ引っ込んでしまった。
ネロも、ずっと若い猫だと思っていたけれど、もうだいぶ年老いてしまったんだな。
それもまた、ペットは飼えそうにない、の方に矢印が向いてしまう。
と、まあ、そんな話。
ここまで書いといて、でもひょんなことから飼うことになったり、そういうご縁があったりもする。
そのときはもう、腹をくくるしかないんだろうね。
傍らに猫がいる生活は、やっぱりいいなぁとは思うので。
▶ Rakuten 動物保護団体支援プログラム×はてなブログ #ペットを飼うこと 特別お題キャンペーン
by 楽天グループ株式会社